2016年度・2017年度 全国の電話相談のまとめ
2. 相談者の特徴
1) 会員と非会員および相談経路
2016年度:相談者は、圧倒的に非会員93.1%(支部91.6%、本部96.8%)である。相談経路は、 インターネット32.9%(支部21.9%、本部52.8%)である。支部は、「12その他(地域のイベントなど)」や「3役所などの窓口」が多く、インターネットが50%を超える本部との違いが特徴的である。
2017年度:圧倒的に非会員91.5%(支部89.6%、本部96.8%)である。相談経路は、 インターネット32.2%(支部22.7%、本部56.2%)である。支部は、「12その他(地域のイベントなど)」「3役所などの窓口」「7「家族の会」会員」が多く、インターネットが50%を超える本部との違いが特徴的である。
- 相談者は、非会員が90%を超えて圧倒的であり、支部の方の会員数が多くても10%に留まっている。支部は、相談経路「12その他(地域のイベントなど)」「3役所などの窓口」が多く、インターネットが50~60%を超える本部との違いが特徴的である。支部の場合は、認知症対策「新オレンジプラン」による都道府県の取り組みに各支部が参画し協働することで市民に身近な存在として、本会の紹介が行われていることと伺える。一方本部は、総務省報告による最近のわが国(特に都市部)のインターネットやスマートフォンなど利用率の上昇5)が反映していると考えられる。
2) 相談者の性別
2016年度:相談者は、女性からが79.5%(支部77.9%、本部83.4%)であり、共に約80%で男性より多い。
2017年度:相談者は、女性からが78.8%(支部が76.3%、本部86.8%)であり、男性より圧倒的に多い。
- 相談者は、2年間共に約80%が女性である。この傾向は、本部の電話相談事業報告書1)でも(2013~15年度女性が83%を超えていた)同様である。わが国においては、平成28年度国民生活基礎調査2)でも明らかなように女性が介護を担っている実態が継続していること、また「女性が介護を担う」の風潮が継続していると伺える。
3) 相談時間
2016年度:相談時間は、26.31分(支部25.27分、本部30.09分)で支部のほうが本部よりやや短い。いづれにしても相談時間は、30分以内に留まっている。女性は、全体が28.13分、支部26.2分、本部31.08分であり、いづれも男性より長い。また男女共に支部のほうが本部よりやや短い。
2017年度:相談時間は,30.18分(支部30.20分、本部が30.59分)で、支部と本部に差がない。性別では、全体でみると女性が30.34分で、支部と本部共に女性のほうが男性よりやや長い傾向である。
- 相談時間は、2016年度31分で2017年度30.18分とわずかに延長している。2016年度は、支部の相談時間が短く、37都府県のうち2県を除き有料ということが影響しているか、と推察した。しかし2017年は、ほぼ30分で差がない。後述の相談内容と時間の延長や性差によるものか検討したが、明確な違いは見られなかった。
4) 相談者からみた要介護者との続柄
2016年度:相談者からみた要介護者との続柄は、実父母55.7%(実母8:実父2)が最も多い。次いで配偶者16.8%(夫7:妻3)、義父母9.9%(義母7:義父3)、本人5.6%(女性7:男性3)、兄弟姉妹・その配偶者2.7%の順である。支部は、本部に比べて実父母、義父母が少なく、配偶者、本人が多く、兄弟姉妹・その配偶者はほぼ同率である。 性別で見ると女性の相談者は、実母(支部76.8%、本部77.5%)、義母(支部77.5%、本部73.4%)で、いづれも実父、義父より多い。
2017年度:相談者からみた要介護者との続柄は、実父母56.3%(実母8:実父2)が最も多い。次いで配偶者15.6%(夫7:妻3)、義父母9.8%(義母8:義父2)、本人6.0%(女性7:男性3)、兄弟姉妹・その配偶者2.2%の順である。支部は、本部に比べて実父母、義父母が少なく、配偶者、本人、兄弟姉妹・その配偶者が多い。 性別で見ると女性の相談者は、実母(支部74.9%、本部78.7%)、義母(支部79.2%、本部70.8%)で、いづれも実父、義父より多い。
- 相談者からみた要介護者との続柄は、2年共に実父母が約60%(実母8:実父2)で最も多く、次いで配偶者約20%(夫7:妻3)である。平成28年度国民生活基礎調査の概況2)によれば、「同居」の主な介護者を性別にみると、男性0%、女性66.0%で女が多く、これを年齢階級別にみると、男女とも「60~69 歳」が28.5%、33.1%と最も多くなっている、と報告されている。この報告の要介護者は、認知症に限定されていないが、わが国においては、実娘が「実父母」を介護していること、また認知症の人の生存期間の延長により介護される両親と実娘、また配偶者共々に高齢化する「老老介護」の状況が推察できる。
5) 主介護者と非主介護者
2016年度:「相談者が主介護者である」は、全体で66.7%、支部65.7%、本部68.6%である。
2017年度:「相談者が主介護者である」は、 全体で66.4%、支部66.9%、本部65.4%である。
- 2年間共に相談者の約70%が「主介護者」である。
6) 相談者と要介護者との住まい方、主介護者と要介護者との住まい方
2016年度:相談者と要介護者との住まい方は、 全体で「2別居」50.4% 、「同居」49.60%でほぼ同率である。一方、支部は「1同居」53.5%が、本部「2別居」59.2%が多い。また主介護者と要介護者との住まい方は、「同居」59.2%、「別居」40.8%である。非主介護者の場合は、「同居」24.8%、「別居」75.2%である。
2017年度:相談者と要介護者との住まい方は、全体で「2別居」50.7% 「1同居」49.3%でほぼ同率である。一方、支部は「1同居」52.2%が、本部は「2別居」59.4%が多い。また主介護者と要介護者との住まい方は、「1同居」59.4%が多く、 「別居」40.6%である。非主介護者は、「1同居」25.8%であり、「2別居」74.2%である。
- 相談者と要介護者との住まい方は、2年共に支部は「同居」が50%を超え、本部は「別居」が約60%である。一方主介護者と要介護者との住まい方は、2年共に「1同居」が約60%である。非主介護者と要介護者との住まい方は、2年共に「2別居」が約70%を超えている。平成28年 国民生活基礎調査の概況2)によれば、主な介護者は要介護者等と「同居」が7%で最も多いと報告されている。この報告は、認知症に限定された要介護者でないが、本会の主介護者の「同居」率と同傾向である。