「安心のもと」にあふれた認知症フレンドリーな社会となることを目指して

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NPO法人 認知症フレンドシップクラブ (Dementia Friendship Club:DFC)をご紹介します。

NPO法人認知症フレンドシップクラブ

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1.認知症フレンドシップクラブとは

認知症フレンドシップクラブは、イギリスのオックスフォードで行われていたクライブ・プロジェクト(Clive Project)という活動に倣い、2007年に札幌で立ち上げた組織です。

当時の日本では、認知症を生きる人は様々にケアやサービスを必要とする患者・利用者とのイメージが強くありました。そうした中で見たオックスフォードの活動では、認知症を生きる人たちが自分たちのやりたい事を自由に楽しむための支援を行なっており、私たちと認知症を生きる人達との関係性を考えさせる大きなきっかけとなりました。それは常日頃から、病院や施設などのケアサービスにおける患者・利用者とサービス提供者との関係が、とかく支援する者とされる者という力関係に閉じた状況を作りがちと感じていたからです。団体名のフレンドシップとは、力関係や利害関係に閉じない平等な関係性をベースに、認知症を生きる人たちと共に町づくりを進めたいと願う思いの現れでもあるのです。認知症フレンドシップクラブは、認知症を生きる人たちに友人として寄り添いながら共に歩みを続ける、そんな団体として立ち上がりました。

現在のフレンドシップクラブでは、日本の各地域で認知症フレンドリーな社会を目指して町づくりを続ける活動拠点を募り、DFCネットワークという全国拠点の連携を組織しています。そして、町づくりに向けてお互いに協力し合いながら活動を支え合うネットワークを背後から支援する、いわば認知症フレンドリー社会を目指す活動の応援団として立っています。活動の中心には常に認知症を生きる人があり、彼らの想いや願いがあり、そこに寄り添う友人として社会にあり続けること。そうした活動拠点を全国に広めつつ、その働きを様々にバックアップしていくことが、認知症フレンドシップクラブの役割だと考えています。

2.目指している社会

私たちが暮らす町には例えば、事故や事件、病気や災害など、様々な危険が溢れています。ですが、そうした危険を一つ一つ取り除いていったとしても、残念ながら、それだけでは安心して暮らしていける町を作ることはできません。では、何が必要なのでしょうか。それは危険を無くすことだけでなく、それと同時に「安心のもと」を地域の中にたくさん生み出していくことが必要なのです。

地域の中にある「安心のもと」とはなんでしょうか。例えば、駅で見かけるシルバーシートやホームドア、街中にある点字ブロックや横断歩道のメロディなどは、「安心のもと」の一つです。つまり「安心のもと」とは、地域社会の中に、またそこに暮らす一人ひとりの中に備わり根付いている、人々の暮らしや活動、生きがいに寄り添っていこうとする機能やデザイン、思い、考え方のことなのです。

認知症フレンドシップクラブでは、それぞれの地域に根ざして「安心のもと」を増やしていこうと活動を続ける拠点を繋ぎ、日本中がこうした「安心のもと」にあふれた認知症フレンドリーな社会となることを目指しています。

3.ラン伴(RUN TOMO)

ラン伴:台湾でもタスキが繋がれています

ラン伴:台湾でもタスキが繋がれています

 

全国に「安心のもと」を増やしていくために続けている活動の一つがラン伴です。ラン伴は簡単に言えば、認知症の人や家族、支援者、一般の人たちがリレーをしながら一つのタスキを繋ぎ、ゴールを目指すイベントです。ですがそれは、同じ地域に暮らしながらも接点のない地域住民、地元企業、子供達、お母さん、認知症を生きる人、医療福祉関係者などなど、町づくりを担うあらゆる人たちが出会い、タスキを繋ぎ走る経験を共有することから、認知症フレンドリーな地域を考え始めていくためのツールなのです。また、人々が出会い気づきが生まれ、それによって一人一人に新たな変化と次のアクションが生まれていくための仕掛け、と言っても良いかもしれません。

例えば、地域に暮らす人が認知症を生きる当事者に出会い同じ体験を共有することは、認知症をジブンゴトとして捉えるきっかけを作り出します。ジブンゴトとは、自分も認知症になりうる存在であることに気づくことだけでなく、社会における認知症の問題は、同じ社会の一員である自分もその一端を握っている、というリアルに気づくことでもあるのです。そうして生まれた変化が、地域における「安心のもと」を生み出すことへも繋がっていくのです。

2011年から始まったラン伴は、日本全国を縦断してタスキをつなげ、海を渡り台湾でも開催されるイベントとなりました。

認知症にやさしい町づくりを目指す地域がそれぞれに、自分たちの地域のビジョンに合わせてラン伴を活用していくことで、より多くの「安心のもと」を備え持つ認知症フレンドリーな地域が全国に広がっていくことを、認知症フレンドシップクラブでは応援しています。

【著者プロフィール】

筆者:井出訓(いでさとし)
認知症フレンドシップクラブ創設者、NPO法人認知症フレンドシップクラブ現理事長、放送大学大学院教授。専門は老年看護学。

【公開連絡先】
団体WEB Page:https://dfc.or.jp/
RUN伴WEB Page:https://runtomo.org/
メールアドレス:info@dfc.or.jp

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