診断された後の生活

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私は「認知症の人と家族の会(家族の会)」の世話人です。診断された人たちや家族が私たちの“つどい”に多く参加しています。どんな暮らしぶりかご紹介しますね。

ピアノを弾くことが好きな田中さん

定年退職後に引き続き非常勤講師で働いていました。約束を忘れる、財布や鍵がないと探しものが多く、息子に相談し受診しました。アルツハイマー型認知症との診断でした。職場に迷惑をかけるのでと仕事は辞めました。
誰かのためにピアノを弾く時間を持ちたいことを息子に話し、今は週に1回、児童館で弾いています。「できることで、子どもの笑顔が見られて楽しい」と田中さん。

●田中さんの息子

もの忘れが激しいし、おかしいと思って受診しました。私は専門職で認知症のことは知っていましたが、親がその病気だと診断された時はショックでした。同じような思いをしている人と話したいと思い、「家族の会」にめぐり合いました。

働き続ける鈴木さん

総務部で働いていた鈴木さんは仕事でのミスが多くなり、職場から受診を勧められて診断を受けました。働き続けたいと希望し、職場の人が認知症サポーター養成講座を受講、仕事も能力に合った内容に変更してくれました。「今までの仕事ができないのは悔しいですが、職場の仲間が『困ってないか』など声をかけてくれるので安心して働いています」と鈴木さん。

●鈴木さんの妻

まだ子どもが高校・大学生なのでお金がかかります。どう言われるか心配でしたが、思い切って職場の上司に夫と一緒に話しに行きました。

地域での役職を続けている安藤さん

安藤さんは、地域の自治会の役員をしていました。会議の時間に遅れる、忘れる、名前が出てこないなどがあり、知り合いの専門職に相談して受診。軽度認知機能障害(MCI)との診断でした。認知症の勉強をしていたので自治会の人に話し、サポートを受けながら役員を継続しています。「できないこともあるけれど、まだまだ、長年培った経験や人脈など、役立つことは多くあることがうれしい」と安藤さん。

●安藤さんの夫

家では同じ料理が出ることが多いけれど、「よくあることだから」ぐらいに思っていました。役員の方から話を聞いた時にはビックリしました。認知症のことをよく勉強されている町内の人たちで、あたたかく見守ってくれています。これからどうなるか心配ですがね。相談できる人をたくさん知っているので、それが頼りです。

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