川柳で「めざせ!認知症にやさしい町・高鍋」

22高鍋町地域包括_basic_2 社協ロゴ

はじめに

高鍋町は、宮崎県の海沿いのほぼ真ん中にある「歴史と文教のまち」であり、長い歴史にはぐくまれた史跡や文化遺産が多くあります。また、宮崎県一面積が小さいまちですが、そこには学校や商業施設などが集中しているので、とても便利な町です。田舎過ぎず、街過ぎず、生活するにはちょうどいいまちです。
2020年4月1日現在、人口20,192人、65歳以上の高齢者数6,628人、高齢化率32.8%となっています。また、団塊の世代が75歳以上となる2025年には、人口減少・高齢者の増加により高齢化率が34,02%になることが予想されます。
高齢者数の増加に伴い、認知症患者数は700万人前後に達し、65歳以上の高齢者の約5人に1人が認知症に罹患するという見込みもあります。
そのような状況を踏まえ、高鍋町社会福祉協議会では認知症の理解の促進・啓発を目的に2016年から赤い羽根共同募金「テーマ型募金」を活用し、「認知症架け橋川柳」に取り組んでいます。
「テーマ型募金」とは、毎年1月から3月にかけて実施される募金で、地域にある課題を一つだけピックアップし、それに向かって募金活動を行うシステムです。

認知症架け橋川柳について

認知症啓発の手段として選んだのが「川柳」です。「川柳」は、話ことばで日常を面白おかしく切り取ったり、感じたことや気持ちをストレートに表現でき、思ったこと感じたことなどをなんでも自由に表現でき、子どもから大人まで幅広い世代の方が創作できるところが魅力です。
そのような魅力のある川柳で、認知症にまつわる、ちょっとほっこりする作品を子どもから大人まで幅広い世代に募集しています。
特に、小学生・中学生に関しては、学校の福祉教育の中で「認知症サポーター養成講座」を実施した後に、川柳応募の依頼をしており認知症を理解したあとの作品とあって、温かみのある優しい作品が多くあります。
高齢者の方や施設入所者、認知症当時者の方の応募もあります。自分の物忘れに対するエピソードをおもしろおかしく川柳にしていたり、今ではあまり使われなくなった「ボケ」という単語も川柳の一部として使うと、マイナスなイメージが緩和されていて、決して認知症が悲観的なことばかりではないということが伝わってきます。
また、実際に認知症の方を介護している家族・施設職員の方の作品には、日頃どのような気持ちで介護をしているかというような心情や、認知症の方の行動を優しく受容していることが理解できる作品が集まってきます。
それぞれの立場から、認知症のことを考えているということがよく伝わり、読んでいて心が和らいできます。

作品の活用について

作品の応募数は、例年500作品にのぼりますが、その中から毎年20作品のみを選考し表彰しています。
選ばれた作品は、のぼり旗にして、高鍋の街中や公共施設・小中学校など、たくさんの人達の目につくような場所に掲示し、認知症の啓発に役立てています。
特に、「世界アルツハイマー月間」の9月の1ヶ月間は街中にたくさんののぼり旗が立てられています。

表彰式の様子

街中ののぼり旗

 

応募作品の紹介

過去5年間の入賞作品の一部を紹介します。
「ボケられん 主人の面倒 みにゃならん」
「介護して 更に深まる 家族愛」
「徘徊も いっしょに歩けば 散歩道」
「娘見て どちら様かと おじぎする」
「デイの日は 迎えの兄ちゃん 待つ乙女」
「祖母のこと 今の私と 思い出す」

まとめ

「認知症架け橋川柳」は、町民の募金のおかげで事業の実施ができています。この活動も2021年で6年目を迎え、昨年度は、取り組み内容が評価され「NHK厚生文化事業団」主催の「認知症とともにいきるまち大賞」の特別賞を受賞することもできました。
今後も、「認知症にやさしいまち!高鍋」が実現できるように、町民の皆様と一緒に活動していきたいと思います。

【団体プロフィール】

高鍋町社会福祉協議会は、誰もが「安心してともに暮らせる地域社会の実現」を基本理念として、関係機関と連携を図りながら地域福祉の計画的な推進のための事業に積極的に取り組んでいる団体です。
この町にある一つひとつの暮らしに手をさしのべ、みんなで動く地域づくりから、誰かの助けを必要とする一人一人の日常まで、福祉のチカラで高鍋を支えるのが、私たちの使命です。
【公開連絡先】
住所:宮崎県高鍋町大字北高鍋300番地
電話:0983-22-4076
0983-23-5365
Eメール:takanabe-shakyo@proof.ocn.ne.jp
HP:https://www.takanabe-shakyo.or.jp/
FB:https://www.facebook.com/takanabe.shakyo/

 

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