悪いことばかりではない〜深川 亜姫〜

FUKAGAWA

「お母さん、すぐ忘れる」と、子どもたち~診断後の戸惑い

子どもたちが、学校のことを伝えたようですが、「言った」「聞いてない」の喧嘩が度々。宅配便へのサインが読めないような漢字になり、不思議に感じていました。単身赴任先から帰宅した夫も「年をとれば誰でも忘れることが多くなる」と言いますが、子どもたちは、腑に落ちないようでした。
ある時、住所と家族の名前を書く書類を夫から受け取ったものの、漢字が出てきません。何も思い出せません。頭の中が深い霧の中のようです。驚いた夫は、急遽会社を休み、近くの専門外来に一緒に行ってくれました。いろんな検査の結果、アルツハイマー型認知症(疑い)と告げられました。
翌日、夫は赴任先に行ってしまい、私はどうすればよいのか、誰に相談すればいいのか、誰に頼ればいいのか、不安と絶望の中にいました。

2年余の空白を経て、「家族の会」に繋がる

ある休日に、市で開催された「つどい」に夫と一緒に参加し、そこで、世話人さんとの出会いがありました。初対面でしたが、この間のつらいことなど、いろいろ聞いてもらいました。
2022年度に、支部で京都にバスで一泊旅行しました。翌年は日帰りですが、ひるがの高原に行け、嬉しかったです。支部の研修は時間もゆったり、事情を知り合った仲間たちなので、心に余裕もでき楽しめました。

この頃の思い~悪いことばかりではない

認知症になっても悪い事ばかりではありません。忘れることも、できないことも多くなってきました。できないことは、皆さん親切で手伝ってくれます。声もかけていただけます。
年齢、性別、障がいのあるなしにかかわらず、すべての人が一緒に楽しめるスポーツ『ボッチャ』による交流会もはじめました。運動音痴の私でも手軽にでき、皆さんと楽しんでいます。市のボッチャ大会に選手として出場しました。1勝もできませんでしたが、皆さんと楽しめたことは心に残りました。ぜひ、皆さん遊びに来てください。一緒にやりましょう。

編集:中野智之

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