フィリピンにおける認知症のためのデジタルヘルス:記憶の小道ゲーム(Memory Lane Games)の事例
国際アルツハイマー病協会(Alzheimer’s Disease International, ADI)では、ウェブサイトで次のようなニュースを伝えています。
今年初め、フィリピン・アルツハイマー病協会はメモリー・レーン・ゲーム社(Memory Lane Games)と提携し、フィリピンの介護者や認知症患者のために、文化的に適切でカスタマイズされたコグニティブ・ゲーム・アプリを構築しました。
診断から認知機能の改善まで、認知症の人や介護者をよりよく支援するための革新的なツールや技術が年々、次々と登場しています。
2021年初め、ADIのメンバーであるフィリピン・アルツハイマー病協会(ADAP)は、ORCHA認定のデジタルヘルス企業であるメモリー・レーン・ゲーム社(Memory Lane Games)と提携し、脳卒中や認知症などの認知機能障害を抱えながら生活している人々のために、それぞれに合ったエクササイズを作成しました。
COVID-19の期間中、専門家や臨床医と直接会うことができなかったことを受けて、メモリー・レーン・ゲーム社(Memory Lane Games)は、認知症を患っている人に効果的な認知刺激を与えることを目的としたアプリを開発したいと考えました。世界アルツハイマーレポート2021(World Alzheimer Report 2021)の「認知症の診断を受けるまでの道のり(Journey through the diagnosis of dementia)」に記載されているように、COVID-19のパンデミック時に対面式の臨床医にアクセスできたと回答した認知症の人は、わずか35%でした。
フィリピンアルツハイマー協会(ADAP)に紹介された「記憶の小道(Memory Lane)」は、フィリピンアルツハイマー協会(ADAP)のためにカスタマイズしたバージョンのアプリを作り始めました。様々な認知ゲームを提供するこのアプリでは、フィリピンのオリジナル音楽、ストリートフード、歴史、100以上の地元の町や村など、フィリピンの身近なイメージやテーマに沿った数百の画像が選ばれています。
メモリー・レーン・ゲーム社(Memory Lane Games)のCEO兼共同設立者であるブルース・エリオット氏は次のように述べています。
「このゲームは、好きなことや身近なことを題材にして、得点や時間制限なしに、飽きずに楽しめるようにデザインされています。認知症の方や介護者の方にも楽しんでいただけるように、問題や画像も慎重に選んでいます。最終的には、会話や思い出を刺激するプラットフォームにしたいと考えています」。
その後、フィリピンアルツハイマー協会(ADAP)との月例会議や、アプリの改善に向けた継続的な検討を経て、2021年4月にアプリを公開しました。公開されて以来、アプリはフィリピンで17,000件以上のダウンロードがあり、認知症の方、家族介護者、セラピスト、家族などに採用されています。
フィリピンアルツハイマー協会(ADAP)理事会メンバーで神経内科医のジェミール・カノ博士は、次のように述べています。
「”Memory Lane Games “アプリは、家族介護者と認知症を患っている方との間の積極的な社会的交流を促すのに役立っています。認知症がより進行した段階では、家族介護者は、ゲームが気分の向上に役立ち、介護が楽になると述べています。COVID-19の検疫制限中は、脳の運動としてアプリを処方しています。」
フィリピンアルツハイマー協会(ADAP)は当面の間、認知症の方やそのご家族のために、臨床医や神経内科医も認知機能の刺激のツールとして本アプリを紹介していきます。
イギリスのウォリックシャー州で高齢者向けの行政サービスやコンパニオンサービスを提供する「グッド・コンパニオン」を経営するサラ・パゲンは、次のように述べています。
「私は、地域の家族と密接に協力して、実用的なサポートとコンパニオンシップを提供しています。認知症によって大切な人の最近の記憶が失われてしまうと、家族はとても悲しむことになります。このアプリは、認知症の方に大きな違いをもたらします」と述べています。
メモリー・レーン・ゲームズ社は、同様のアプリを地域に合わせてカスタマイズして提供しており、その連絡先は heretohelp@memorylanegames.com です。