〜居心地の良い居場所〜カフェふしの
世話人の熱い思いから開設
家族支援だけでなく、本人も集える認知症カフェを開催したいとのひとりの世話人の熱い思いから、世話人の実家、築100 年以上経つ古民家を活用して“カフェふしの”が2015年3月にスタートしました。ちょうど山口市に、認知症カフェ補助金制度ができた時で、山口市の認知症カフェ第1号となり、今年3月、10周年を迎えました。
喫茶店のように会話を楽しむ
毎月1回開催し、参加費100円でコーヒーとお菓子を提供しています。参加者は、認知症の人、
介護者(家族)、世話人、行政関係者、オレンジサポーター、大学生、地域住民です。プログラムはなく、喫茶店のように、日常の会話を楽しむことを大切にしています。スタッフは、認知症の人も、家族も、専門職も意識することなく、カフェを通じて出会えた「知り合い」として、楽しく過ごせる場所となるよう配慮しています。
阿部さんご夫妻から~居心地の良い居場所
当時の私は、主人が「認知症」と診断されて「認知症」についてわからないことや知りたいことだらけでした。2019年6月、手がかりを得たい一心でチラシを手に、“カフェふしの”へと導びかれました。開かれた戸口から中へ入ると緊張してぎこちない私に「よくいらっしゃいました」と微笑んで、茶菓でもてなしていただきました。ぼちぼちと私が話すことに肌身で感じてくださり、ご自身の介護経験からも、ひとりではないことと「あなたのことわかるよ」と傾聴くださり、さらに手を握って涙され、安らぎを得た思いでした。
主人は、カフェや若年の集まりに誘っても「自分の行くところではない」と言っていましたが、9 月に一緒に行ったところ「ありのままの自分で居ることができてよかった!また行きたい!」とずいぶんと気に入った様子でした。パァーッと表情が明るくなったことを覚えています。
あれから6年、“カフェふしの”では常連となり、主人は仲間と会えることを楽しみに集っています。私も家族つながりで強い絆をいただいているように思います。“カフェふしの”の敷居をまたいだなら、心に抱えていることを話して憩うことができます。仲間との出会いがあります。そしてきっと居心地良い居場所となると思います。
編集:中野 智之