米国アルツハイマー協会の方が日本の介護を視察
2024年9月17日(火)の午後、米国アルツハイマー協会* のジョアンナ・パイク博士CEO、クレア・セクストン博士、世界認知症協議会 (World Dementia Council, WDC) のレニー・シャルクロス氏が、東京都足立区の小規模多機能型居宅介護じゃすみん扇を訪れました。
3名の訪日は、2024年9月18日(水)~19日(木)の2日間、東京で開催される認知症領域における世界最大級の国際学会である AAIC (Alzheimer’s Association International Conference) の分科会であるAAIC Advancements: Modernizing Diagnosis に出席するためのものです。分科会に先立ち、日本の認知症介護の現場を視察しました。
日本は、介護保険が2000年に制度化されましたが、認知症ケアや高齢者が出来るだけ自立した生活が出来ることや、重症化しないための地域リハビリテーションが課題でした。
こうした課題に取り組みサービスとして誕生したのが小規模多機能型居宅介護です。「小規模」とは、登録定員29名、通い定員18名という規模を表しています。一方、「多機能」とは、利用者が通うデイケア、利用者宅を訪問する訪問、さらに宿泊などのサービスを24時間365日提供しています(参考論文 Case study: Developing comprehensive community care in Japan – urban planning implications for long term dementia care)。
じゃすみん扇ホーム長の馬場博士は、認知症であっても行えるリハビリテーションとして、利用者が暮らしている地域の公園で花を植えたり、通勤用バスを貸し切ってショッピングに行く活動を紹介しました(参考論文 Effects of Adachi Rehabilitation Programme on older adults under long-term care: A multi-centre controlled trial)。また、高齢者向け住宅に住む場合も、可能な限り自立し住み慣れた地域で安心して暮らし続けていくことが重要であるとの強い想いを共有しました。
参加者は、当初は、日本の「認知症の当事者が暮らす村」を見学したいという希望でした。しかしながら、住み慣れた地域において家庭的な雰囲気で提供されている認知症ケアを見学し、さらに実際に利用者と言葉は通じなくても笑顔で交流を重ねることで、認知症の当事者や介護をする家族の方も孤独に陥らないよう複数の人々や地域社会で支え合う、日本の地域包括ケアにも触れることができたようです。
*米国のアルツハイマー病協会(Alzheimer’s Association:AA):AAICの母体であり、認知症ケア、支援、研究に取り組む世界最大規模の団体