さとう みき〜いまを生きる〜

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絶望的な日々から、前に向ける人との出会い

診断を受けて、家族への思いと同時に、悲しい情報ばかりに目がいき、「私の人生はあと数年なのだ」と、絶望的になり家に閉じこもる日々を過ごしていました。
その後、丹野さんとの出会い、八王子市にあるデイサービス「DAYS BLG! はちおうじ」の代表の守谷さんとも出会いました。そこから働くという「役割」と「居場所」をいただけて、少しずつ自分自身のことも受け入れながら前を向くことができました。何よりも同じ仲間たちとの出会いが、私にとっては大きな支えにもなっております。

ピアサポート、本の出版など拡がる出会い

今、デイサービスの勤務はできておりませんが、2021年より「おれんじドアはちおうじ」をスタートし、2023年、とうきょう認知症希望大使を拝命。講演会、ピアサポート活動、空港ユニバーサルデザイン委員会などたくさんの方々と出会う機会も多くあります。
岩波書店から『認知症のわたしから、10代のあなたへ』の出版を機に、専門職の学生の授業、企業でお話をさせていただくなど、様々な活動の機会をいただいております。

家族や仲間とのホッとする時間

息抜きは、家族や愛犬とまったりと過ごしたり、地元の同じ仲間たちと家族も一緒になって食事をしたりすることが楽しいひと時です。仲間、家族同士が交流できる自分たちでつくった、自然なカタチができている交流は、一番ホッと安心できる場なのかもしれません。

「いまを生きる」~人生は続いている

これからも大きな声を拾うのではなく、小さな声、声を出せない方々に手を差し伸べながら共に前を向いて暮らせることを考えたいと思っております。「いまを生きる」、後から聞かれて忘れてしまっても、私たちにはその「瞬間」があるということに目を向けていただけたら嬉しいです。私たちが特別ではなく、「ひと足先に認知症になっただけ」
認知症は、ありのままを「認」め合い、正しく「知」ることで、偏見もなくなる。
認知症と診断を受けても人生は終わりません。私たちの人生は続いているのです。

編集:中野智之

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