〜認知症基本法に私の今を重ねて〜江森 元春

2025-10

認知症の前触れ

2023年頃から物忘れがひどくなったこと、視力障害もあり農機具など機械の操作が難しくなりました。事故を考えると怖くなり、畑仕事は好きでしたが、昨年は一度も畑に足を踏み入れることはありませんでした。
2024年3月、25年間中山間地域で7つの介護保険事業を展開してきた理事長としての役割は終わりにしました。加齢性黄斑変性のために右目の視力を失い、車の運転もできなくなりました。

アルツハイマー予備軍と診断されて

2024年9月、脳梗塞後の定期受診で海馬が委縮しており、アルツハイマー予備軍だと診断されました。その言葉を聞いたとき、動揺することはありませんでしたが、「予備軍」という言葉に希望をもちました。介護事業活動を通して認知症について理解ができていたからだと思います。

妻の励まし~得意のハーモニカ演奏

妻は私がハーモニカを吹けることを知っていたので、「健康にもいいし、認知症の進行を遅らせることもできる、聞いてくれた人が喜んでくれるよ」と勧めてくれました。国民学校1年生から始めて80年間、折あるごとに吹いてきました。通っているデイサービスで、披露したところ、目の見えない利用者から「生きていて良かった」と言われ、励まされました。

認知症基本法に私の今を重ねて、ハーモニカと共に講演活動

2024年1月認知症基本法が施行されました。2025年5月にある団体からこの法律の解説をしてほしいと、妻に講義の依頼がありました。わかりやすくということで認知症基本理念に私の今の想いを重ねて語りました。その講演が新聞に掲載され、認知症の本人が語ったことが話題になり一躍時の人になりました。オレンジカフェ、サポーター養成、本人ミーティング、講演、テレビの取材など忙しくなりました。小話など交えながらハーモニカの演奏が好評で、皆さんに励まされ生きる力になっています。
特に早期診断・早期対応が大事なことを私の体験を踏まえてお話ししています。
老い先短くなりましたが私にできることを続けたいと思っています。

編集:中野 智之

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